はじめて読むひとは、ぜひ「その1」からお読みください
その五 永遠にかわらぬ物体はない[舎利子色不異空空不異色色即是空空即是色]
般若心経では、聞き手である
さて、初めに「舎利子よ」と呼びかけたあと、お釈迦さまはすべてのものの本当のありようについて、次のように説きます。
「形ある物はさまざまな条件によって、今あなたの目の前にあるのだ。逆にいえば、いろいろな条件(縁)によってなりたっているものが物なのだ」
ここでは、物とそれを認識する私たちの心の働きのことをいっています。少しむずかしくいえば、物質存在と認識作用のことです。そして、それらは離すことはできないというのです。
原文に戻ると、
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(
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これが読みくせだと
[
と切ることが多く、意味からすれば、妙なところで切って読んでいることになります。
たくさんある般若経典
般若心経もそうですが、仏教のお経には「〇〇般若経」という名前のものがたくさんあります。それらはすべて「
この「
物のありよう
私たちは物にかこまれています。そこで、般若心経ではまず、その物がさまざまな条件の集合体であること、そして、条件の集まったものが物になるとといいます。くり返しになりますが、これを、
「色は空に異ならず、空は色に異ならず」[
といいます。
後ほど具体的な例で考えますが、ここはとりあえず、
「物」というのは「条件の集まり」と異ならない、また「条件のあつまり」は「物」と異ならない——条件によって「物」の形が変化するのだから、その形が永遠にかわらぬということはない——。
としておきましょう。
それを次の有名な句でいいかえます。
「色は即ち是れ空、空は即ち是れ色」[
(「物」はすなわち「条件の集まり」ということだし、「条件のあつまり」がすなわち「物」という形になる)
というのです。
たとえば、お寿司屋さんで太巻きを注文したとしましょう。
太巻きは、海苔と酢飯とかんぴょう、キュウリ、でんぶなどを
この場合の太巻きが